土旺用事(どおうようじ)の略。
土用というと夏を思い浮かべる方も多いと思いますが、土用は各季節にあります。
陰陽五行説では宇宙は2つの陰陽と5つの元素(水、金、土、火、木)からできていると考えられています。
春は「木」、夏は「火」、秋は「金」、冬は「水」が支配するとされ、残った「土」を
各季節の終わりの18日間に当てはめたことから、立春、立夏、立秋、立冬の前の18日間を土用といいます。
次の季節へ移る前の調整期間といったところでしょうか。
一般的には立秋前の18日間の夏土用をさします。この期間を暑中と呼び、暑中見舞いを出す時期でもあります。
また、夏土用に入って3日目が晴れれば豊作、雨が降れば凶作といわれています。
この豊凶占いのことを「土用三郎(どようさぶろう)」といいます。
2025年は
冬土用:1月17日〜2月2日 (太陽黄径297度)
春土用:4月17日〜5月4日 (太陽黄径27度)
夏土用:7月19日〜8月6日 (太陽黄径117度)
秋土用:10月20日〜11月6日 (太陽黄径207度)
最初の日を「土用入り」最後の日を「土用明け」といいます。
※上記の太陽黄径は入りの日のものです。
※入りの日によって18日間でない場合もあります。約18日間と解釈してください。
土用の丑の日
夏の土用は、1年の中で最も暑さが厳しいとされる時期にあたるため、
江戸時代にはこの期間の丑の日を「土用の丑の日」と重視し、
柿の葉などの薬草を入れたお風呂に入ったり(丑湯)、
お灸をすえたり(土用灸)すると夏バテや病気回復などに効き目があるとされていました。
年によっては、土用の期間に丑の日が2回訪れることもあります。
この2回目の丑の日を「二の丑」といいます。
2025年は7月19日、二の丑は7月31日
うなぎ
7月の土用の丑の日にうなぎを食べると夏バテをしないといわれています。
実はこの風習、江戸時代の万能学者であり、発明家でもある平賀源内が仕掛けたものだったんです。
知り合いのうなぎ屋さんが夏はうなぎが売れないと困っていたのを見て、
店の前に「土用丑の日、うなぎの日」という貼り紙をしたのです。
縁起活が好きな江戸っ子にこれが大当たりして、土用の丑の日にうなぎを食べる風習となりました。
元々この日に「う」のつくものを食べると病気にならないという言い伝えがありましたので
「う」のつく食べ物=「うなぎ」として定着したのでしょう。
栄養たっぷりのうなぎを食べて、夏バテを吹き飛ばしましょ。
土用の虫干し・土用干し
夏土用の時期に、カビや虫の害から守るため、
衣類や書物に風を通して陰干することを土用の虫干しといいます。
また、この期間は田んぼに水を入れず、土をひび割れ状態にします。これは雑菌の繁殖を抑える効果があり、
根がしっかりと張るんだそうです。
梅干しの天日干しもこの時期です。
土用にしてはいけないこと
・土を犯してはいけない(土を掘り起こしてはいけない)。
土用の期間は、土を司る土公神(どくしん・どくじん)という神様が支配するといわれ、
土を動かしてはいけないとされてきました。
今でも、家などを建築する際、土を掘り起こしたりする基礎工事などは土用の期間をはずす方が多いようです。
土用は季節の変わり目ですから、農作業で体調を崩さないようにとの戒めもあると思われます。
土用の間日(まび)
土用の期間中土を掘り起こしてはいけないとなると、いろいろと支障が出てきそうですね。
でもご安心あれ。土公神が天上に行き、地上にいなくなる「間日(まび)」が設けられているので、
この日は作業をしてもいいとされています。
冬土用の間日:寅・卯・巳の日
※2025年は1月21日・22日・24日、2月2日
春土用の間日:巳・午・酉の日
※2025年は4月18日・19日・22日・30日、5月1日・4日
夏土用の間日:卯・辰・申の日
※2025年は7月21日・22日・26日、8月2日・3日
秋土用の間日:未・酉・亥の日
※2025年は10月21日・29日・31日、11月2日

・土を掘り起こす作業をしない。
夏土用
・暑中見舞いを出す。
・衣類や書物の虫干しをする。
・梅干しの天日干しをする。
・薬草などを入れたお風呂に入る。
・うなぎや梅干しなど「う」のついたものを食べる。
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うなぎ、梅干し、瓜、うどんなど「う」のついた食べ物
土用の丑の日のうなぎは有名ですが、昔からこの日に「う」のつくものを食べると病気にならないといわれてきました。
例えば「梅干し」「瓜」「うどん」など。いずれも、食が細くなる夏に食べやすいものですね。このような言い伝えは先人たちのありがたいアドバイスともいえるわけです。
他にも「土用〜」という食べ物があります。
土用餅 土用しじみ 土用卵
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日本の365日を愛おしむ
生活に即した歳時記や季節の行事を365日に分けて紹介。毎日ページをめくるのことで、日々の暮らしの豊かさと知識が加わる気がします。
本間美加子 著/飛鳥新社
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